暮らしに彩りをもたらすお菓子とお茶の時間。「煎茶堂東京」に聞く、日本茶の楽しみ方【前編】

暮らしに彩りをもたらすお菓子とお茶の時間。「煎茶堂東京」に聞く、日本茶の楽しみ方【前編】

 
日が沈む時間が少しずつ早まり、秋へと近づいてきた今日この頃。 あたたかい飲みものが恋しくなる季節になりました。


バターサンド専門店「PRESS BUTTER SAND」では、この秋「お茶とお菓子の魅力をもっと知ってもらいたい」という想いから、新しい日本茶のスタイルを提案するシングルオリジン煎茶専門店『煎茶堂東京』とコラボレーション。

9/1(水)から期間限定で販売中の「バターサンド〈宇治抹茶〉 煎茶堂東京 煎茶缶セット」に加え、10/1(金)からは「バターサンド〈栗〉 煎茶堂東京 棒ほうじ茶缶セット」が期間限定で登場します。

 
今回は、『煎茶堂東京』のお茶を体験できるカフェ『東京茶寮』で、BAKE INC.の公式アンバサダー「箱菓子倶楽部」部員のma_ru_coさんcranberryberryberryさんに煎茶の淹れ方やバターサンドとのペアリング体験をしていただきました。

世界初のハンドドリップ日本茶専門店『東京茶寮』


東京・三軒茶屋駅から少し歩いた閑静な住宅街に佇む『煎茶堂東京』の姉妹店『東京茶寮』。

9席のミニマルな空間で、バリスタがハンドドリップスタイルで一杯ずつ淹れた日本茶を楽しむことができる新しいスタイルの日本茶専門店です。

店内に入ると、バリスタの小野寺さんがお出迎えしてくれました。

小野寺さん:本日はお越しいただきありがとうございます。さっそく本日のウェルカムティーをお出しします。こちらは鹿児島産の「はるもえぎ」という品種で、弊社の代表である谷本と青栁が事業を始めるきっかけにもなったお茶なんです。

▲茶葉を計るバリスタの小野寺さん


「はるもえぎ」は和栗のようなやさしい甘みが特徴的。
店内がおだやかな香りに包まれ、これから始まる一席への期待も高まってきます。

ウェルカムティーを飲み終えるころ、『東京茶寮』を立ち上げた谷本さんが登場しました。

谷本さん:みなさん本日はよろしくお願いします。『東京茶寮』の立ち上げや内装デザインなどを共同創業者である青栁とはじめた谷本と申します。


『東京茶寮』は2017年にオープンした、国内のさまざまな産地や品種の煎茶の飲み比べやブレンドの体験ができる、日本初のハンドドリップ日本茶専門店です。お店は普段はカフェとして営業しており、カウンターでバリスタがハンドドリップで煎茶を淹れて提供しているのですが、本日はみなさんにご自宅でも煎茶を楽しんでいただけるよう、こちらの割れない「透明急須」を使ってご自身で淹れていただこうと思います。

割れない「透明急須」はシングルオリジン煎茶を楽しむためにつくられた、1人前の急須です。ガラスのように見えますが、特殊な樹脂で作られています。急須同士はもちろん、『煎茶堂東京』の煎茶缶もスタッキングすることもできるので、ご自宅でもぜひ煎茶の飲み比べを楽しんでみてほしいです。 目の前で茶葉が開いていく様子を見たり、香りをダイレクトに感じることができるのも割れない「透明急須」の魅力のひとつかと思います。

出汁のようなうまみが特徴的な“一煎目”、「やぶきた」と「さえみどり」のブレンド茶

一煎目は、PRESS BUTTER SANDの「バターサンド〈宇治抹茶〉 煎茶堂東京 煎茶缶セット」にも入っている京都産の「やぶきた」と鹿児島産の「さえみどり」のブレンド茶をいただくことに。

▲70℃のお湯をゆっくりと割れない「透明急須」に注ぎ、1分20秒待ちます。


谷本さん:茶葉の開きを楽しんでいただきたいので、蓋を開けた状態で茶葉の色味やグッと上がってくる香りを感じてみてください。

『東京茶寮』で使用している茶葉はシングルオリジンの茶葉なのですが、シングルオリジンで茶葉を用意できること自体が珍しく、世の中に約0.1〜0.3%くらいしか流通していない茶葉も使用しているんです。「さえみどり」もその品種の1つですね。 また、こちらのカップは、一煎目を楽しむために作った「一煎目カップ」で、ワイングラスのように丸みをおびた形をしています。一煎目は温度が低いため、うまみや香り、アミノ酸の成分がよく出てくるので、それらを楽しんでいただければと思います。

谷本さん:一煎目のお味はいかがですか?

ma_ru_coさん:一煎目とは思えない、ぎゅっと濃厚な味わいです。

谷本さん:そうですね。出汁のようにうまみが凝縮されているのが一煎目の特徴で、食べものとペアリングする場合はお漬物や揚げ物など、塩味のものが合うかと思います。 お菓子で特にバターを使用したものは温度が高く、渋みのあるお茶と相性が良いので、二煎目ではバターサンドとのペアリングを行います。

同じ茶葉でも異なる色や味わいとなる「二煎目」

谷本さん:二煎目では有田焼のうつわ「着替える有田焼」でお茶をいただいていきます。二煎目はお茶の温度が少し熱くなるので、洗うことのできる専用のスリーブを巻いています。 直に温度が伝わってくることや飲み口がそり返っていることがこのうつわの特徴でもあるので、味わいの違いとうつわの違い、どちらも楽しんでみてください。

cranberryberryberryさん:普段自宅で飲んでいるお茶に近づきますね。今まであまり温度を意識して淹れたことがなかったので、抽出する温度によってここまで色味や味わいが変わるということに驚いています。

谷本さん:そうですね。二煎目の方が普段みなさんが食事の時などに飲まれているお茶の味に近いと感じると思います。温度が高いと渋みがでやすいんです。
世の中には色んなお茶がありますが、基本的にお茶が持っているのは「カフェイン」、「カテキン」の苦み成分で、それらには健康効果もあるのですが、「うまみ」成分が多く入っているお茶がより高値で取引されています。

スーパーやコンビニなどで売られているお茶は、「カフェイン」、「カテキン」の成分がメインのお茶になるのですが、茶葉で飲むお茶はうまみや香りの成分をつくりだすためにお茶農家の方々が日々頑張っているので、一煎目はうまみや香りを楽しんでもらうために少し低めの温度で抽出することを推奨しています。温度を少し低く設定するのは少し手間ではあるんですけど、「手間ひまをかける」、「時間をつくる」というのが煎茶の良さで、ペットボトルからすぐに飲めるお茶とは対極にあるものだと思います。

今回のBAKEさんとのコラボレーションを通して、お茶とお菓子を単体で楽しむのではなく、ペアリングをして贅沢な時間を過ごしていただきたく、コース仕立てで表現しています。

 

cranberryberryberryさん:お湯の温度について質問です。お水は一度煮沸した方が良いのでしょうか?

谷本さん:お水の中のカルキや空気を抜く必要があるので、一度煮沸することをおすすめしています。ベストは適温になるまで冷ますことですが、なかなか待てないと思うので、何人かでお茶を飲む場合はそれぞれのうつわに移して温度調整をすると良いですよ。 とは言え、なかなか面倒だと思うので、僕は自宅では冷水や氷を入れたりもします。

ma_ru_coさん:一煎目と二煎目で色合いが全然違いますよね。二煎目の方が色がしっかり出ているけれど、味わいは一煎目の方が濃く感じました。

 ▲左:一煎目、右:二煎目


谷本さん:おっしゃる通りです。意外だと思われる方も多いのですが、一煎目の方が味は強いのでペアリングが難しく、合わせるものが限定されてくるんです。 二煎目の方が色んな食べものに合わせやすく、特に渋みと甘みの相性が良いので、食事にも甘いお菓子にも合わせやすいですね。

また、同じお茶でも味わいだけでなく、色の違いにも驚かれると思うのですが、二煎目の色の濃さはお茶の中に「微粉」が浮かびあがっているから色が濃くみえるんです。なので二煎目はテクスチャーが足され、お茶の“太さ”や“キレ”に繋がっていると考えてもらえると!

 ▲京都産の「やぶきた」と鹿児島産の「さえみどり」のブレンド茶(二煎目)とバターサンド〈宇治抹茶〉。

 

 

煎茶の淹れ方(一人分)

茶葉の量:4g
一煎目
湯の温度:約70℃
抽出時間:1分20秒

二煎目
湯の温度:約70℃〜80℃(一煎目より少し高め)
抽出時間:10秒

✔︎ お水は一度煮沸するのがベター
✔︎ お菓子と合わせるなら二煎目からがおすすめ

  

飲む場所や環境でお茶の味わいは変わる?

谷本さん:お二人は普段どのようにお茶の時間を楽しんでいますか?

cranberryberryberryさん:私は年齢と共に飲む回数や量が減り、濃い味を少しずつ楽しむことが増えました。

谷本さん:飲む回数や量が少ない中で厳選して楽しむと言いますか、一食一食を大事にいただくとなると気を遣いますよね。「新しい発見もほしいけど失敗はしたくない」という風に、バランスをとるのが難しい。そういう意味では僕はお茶に関しては毎回発見があって面白いなと思っています。味がわかっているはずでも思いもよらない抽出になったり、毎回違う味わいになるのが茶葉からお茶を淹れる楽しみのひとつです。 あとはお店のような少し緊張感のある場で飲むのと、自宅で自分で淹れて飲む場合、誰と一緒に飲むかでも変わってきますね。

ma_ru_coさん:今回のようにお店で飲むからこそ、自分自身も神経を研ぎ澄ませて「ちゃんと味わおう」という気持ちでのぞむと、より理解を深めながらいただくことができるのかなと思いました。

谷本さん:あとはお盆の有無でも違ってきますよね。お盆があることによって緊張感が生まれますし、領域が作られるという違いもあるので、すごく重要なアイテムだと思っています。

ma_ru_coさん:お盆はやはり日本らしいというか、お盆に並べられて食べるごはんとそうでないごはんとでは、視覚から入る美味しさに違いがありますよね。

谷本さん:本当にそうだと思います。食べものや飲みものは「美味しさ」が大事だと当然のように言われますが、「美味しさ」が何かというと味だけではなく、そこに至るプロセスすべてですよね。

お茶の時間の過ごし方について盛り上がる3人。
そろそろ次のお茶の準備が始まりそうな予感がしてきました・・。次にいただくのはどんなお茶なのでしょうか?
後編の記事もお楽しみに!


▶︎後編の記事はこちらより

 

 

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SPECIAL THANKS

煎茶堂東京
東京茶寮

箱菓子倶楽部 第1期部員 ma_ru_coさん 、cranberryberryberryさん

写真:大島彩
執筆:屋宜美奈子
BAKE THE MAGAZINE

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