“おいしい”を発信するメディアから生まれた、東京の秘境のお菓子。「CAKE.TOKYO」の新プロジェクト『ひとくちのふうけい』にかける想いとは?

BAKE INC.(以下、「BAKE」)が運営する、全国の ”おいしい” ストーリーを届けるスイーツWebメディア「CAKE.TOKYO」。
年間800種類以上のスイーツに出会ってきた編集部が、この夏、新たな挑戦を始めます。
それは、メディアの新しいかたちとして、オリジナルスイーツを開発・販売するプロジェクト。
なぜメディアがお菓子を作るのか?第一弾の舞台はどうして「東京の秘境」になったのか?
気になるプロジェクトの裏側について、CAKE.TOKYO編集部の古林と上井に話を聞きました。
再始動したメディア「CAKE.TOKYO」の新たな挑戦
― まず「CAKE.TOKYO」がどんなメディアなのか、改めて教えていただけますか?
古林:はい!「CAKE.TOKYO」は、全国のこだわりが詰まったスイーツとその背景にあるストーリーを紹介するWebメディアです。実はBAKEが創業して3年目の2015年に始まった、歴史のあるメディアなのですが、会社として事業の選択と集中を進める中で一度2019年に更新をストップしていたんです。でも、「お菓子の持つ力を、もっと多くの人に届けたい」という想いから、2023年に私と上井さんとで再始動させました。
上井:私たちがとにかく大切にしているのが、「おいしいには、ストーリーがある」という「CAKE.TOKYO」のコンセプト。だから、必ず「実際に目で見て、聞いて、食べたもの」だけを発信するようにしています。取材で訪れた先に、この話をすると驚かれたり喜んでいただけることも多いんです!
古林:お店の方やお菓子に使われる原材料の生産者さんたちの想いだったり、さらにはその土地の文化だったり、そうやって、背景にあるストーリーと丁寧に向き合いながら記事を作っていたら、年間800種類以上のスイーツに出会っていました!
― 800種類!すごい数ですね。今回その「CAKE.TOKYO」から商品が生まれると聞いて驚きました。どういった経緯でお菓子を作ることになったのでしょうか?
古林:実は、メディアを再開したときから、ただお菓子やお店のご紹介をするだけでなく、「お菓子のセレクトショップ」みたいなことをやりたい、という構想があったんです。「CAKE.TOKYO」で出会った素敵なお菓子を、BAKEのオンラインストアで販売する。そうすれば、お店の方にも、お客さまにも、そして私たちにも嬉しい「三方よし」の関係が築けるよねって。
― その取り組みは、2024年に開始しましたよね!
上井:はい。BAKEのオンラインストア「BAKE the ONLINE」内の「CAKE.TOKYO」専用販売ページから、CAKE.TOKYO編集部が厳選した商品をお求めいただけるようになりました。ありがたいことにご好評をいただいています!
上井:でも、全国を取材して、お店の方や生産者さん、たくさんの情熱に触れるうちに、もう一つの想いが生まれてきたんです。それが「魅力的なお菓子を紹介・販売するだけじゃなく、私たち自身で、素材や土地のストーリーをぎゅっと詰め込んだオリジナルのお菓子も作ってみたい!」というものでした。
古林:その新しい挑戦への想いを形にしたのが、今回の新プロジェクト『ひとくちのふうけい』なんです。
新プロジェクト『ひとくちのふうけい』のサイドストーリー
― なるほど…!想いがつまった素敵なプロジェクト名ですね!!
上井:・・・と綺麗にまとめてみましたが、実はこのプロジェクトのかたちが決まるまでには紆余曲折、熱い議論もありまして(笑)
― そうなんですね? ぜひ詳しく聞きたいです!
古林:ちょうど一年前くらいに社内で「CAKE.TOKYOオリジナルのお菓子を作ろう」という話があがりました。プロジェクトを始めるにあたって、「どんな形が一番私たちの想いを届けられるか」をすごく議論したんです。
その中の一つの案として、すでにお付き合いやお取引のあるお店とコラボレーションし、今あるお菓子を改良して「CAKE.TOKYO」専用のお菓子として販売する、という選択肢もありました。
上井: そうそう。それも素敵な取り組みだよね、という話もしていたんです。でも、議論を重ねる中で、社内から「それってBAKEでやる意味があるかな?」「一番BAKEらしくて、『CAKE.TOKYO』らしい挑戦ってなんだろう?」っていう本質的な問いが投げかけられて。
古林:その一言が、私たちの背中を押してくれました。
私たちはこの2年間で、たくさんのお店、地方の素晴らしい素材にも出会ってきた。BAKEには、お菓子をゼロから開発できる力がある。「BAKE、そして『CAKE.TOKYO』がかかわる意味をもった商品を作らなきゃだめじゃん!」って。
そこから、今あるお菓子を発展させるのではなく、BAKEの商品開発力と、お店の方や生産者さんの想いや素晴らしい素材をかけ合わせた、新しいお菓子を開発する方向に舵を切ったんです。
『ひとくちのふうけい』は、東京の秘境から。
― そんな議論があったんですね! そこからどうやって「檜原村の生はちみつ」にたどり着いたんですか?
上井:まず、私たちのメディア名が「CAKE.TOKYO」だからこそ、最初の商品は “東京” のまだ知られていない魅力に光を当てたいと考えました。
古林:そこでパッと思いついたのが「はちみつ」だったんです。銀座のビルの屋上とか、都会でも養蜂って結構やってるというのを聞いたことがあって。そして、いろいろと調べていくなかで、東京本土に唯一残る村である「檜原村(ひのはらむら)」と、そこで養蜂を営む「薫る養蜂園」さんを知り、「ぜひ一緒にお菓子を作らせてください!」とご連絡しました。
― へええ、東京本土に村があるんですね…!知りませんでした!
古林: そうなんです。檜原村は今、人口減少や高齢化という課題も抱えているんです。豊かな自然も温かい人々も、そしておいしいものもたくさんあるのに、それが知られていないのはもったいない。私たちがお菓子を通して、その風景を届けることで、地域を応援するきっかけになれたらなと思っています。
“生はちみつ” をいかすための、あと入れフィナンシェ
― まさに「ひとくちのふうけい」ですね! では、ここからはプロジェクト第一弾の商品「檜原村産 生はちみつのフィナンシェ」の開発について聞いていきたいと思います。今回の商品開発でこだわった点はありますか?
古林:はい。まず、「生はちみつ」の魅力を最大限に活かすことです。
普段私たちがお店などで手にするはちみつって、ほとんどが加熱処理されているんです。でも、「薫る養蜂園」さんはじめ、養蜂場などで直接購入できる非加熱の “生はちみつ” は、花の香りや風味がそのまま生きていて、本当に感動的なおいしさなんです。
上井: そうそう。そして、この風味を消さないために、お菓子に混ぜ込んで焼くんじゃなくて、「後から注入する」っていうのが絶対条件でした。
古林: そうなると焼き菓子一択だねって。でもクッキーだと後入れは難しいし、BAKEが得意なもの…と考えて、フィナンシェでの開発が決まりました。
― なるほど!生はちみつだからこそ「あと入れ」の必要があるんですね。
上井: そうなんです!商品試作のためにサンプルをお願いしたら、なんと15種類も送っていただいて!
古林:生はちみつは、採れる季節やミツバチが訪れた花によって味が全然違うそうなんです。
社内の商品開発担当と一緒にひとつずつ食べ比べたのですが、「うわ、全然違う!」「こっちは爽やかだね!」と驚いちゃいました。そこからフィナンシェに合う生はちみつを選んで、何度も試作・試食を重ね、バターのコクと合わさることで生はちみつの華やかな香りが引き立ち、風味が口いっぱいにじゅわっと広がるとってもおいしいフィナンシェが完成しました!
― 私もいただきましたが、はちみつ味のフィナンシェを食べているというより、フィナンシェをはちみつにつけて食べているような印象でした!これはあと入れが効いているんですね。そして、パッケージについても聞かせてください。温かみがあってかわいいパッケージだなと思ったのですが、こだわったポイントはありますか?
古林: ありがとうございます!社内のデザイナーに「檜原村の森が持つナチュラルな雰囲気と、生はちみつの温かみを表現したいんです!」と相談したんです。
古林:箱はナチュラルな雰囲気の既製品を選んだのですが、デザイナーが作ってくれたシールがとてもかわいくて!三本線でミツバチのお尻の縞模様を表現し、「CAKE.TOKYO」のロゴ部分は、はちみつを連想させるハニカム型(蜂の巣の形)にしてくれました。私たちの想いを汲み取ってくれて、本当に感謝しています!
全都道府県の“ふうけい”を届けたい
― このプロジェクトの今後の展望についてもお聞かせください。
古林: もちろん「ひとくちのふうけい」は、今回の檜原村で終わりではありません。日本全国のまだ知られていない地域の魅力を発掘し、スイーツとして届けていきたいです。まだ詳細はお伝えできないのですが、実は、もう第二弾が決定しているんです。
上井:さらに、このプロジェクトを発展させて、オンラインで販売だけじゃなく、リアルな場で「ご当地マルシェ」のような企画も展開していけたらいいなと考えているんです。まずは、BAKE the SHOP 自由が丘店では、第一弾のPOPUPをやりたいねと、企画を煮詰めているところです!
オンラインとリアルな店舗を繋ぐことで、お客さまが地域の魅力に触れる機会を増やし、お店の方や生産者さんを応援していく。そんな循環を生み出すのが私たちの目標です。
― まさに「CAKE.TOKYO」だからこそできる挑戦ですね!最後に、一言ずつメッセージをお願いします!
上井:BAKEの枠を飛び出して、いろんな地域の素敵な方々とコラボできるのが、このチームの強みだと思っています!いつかは「『ひとくちのふうけい』とコラボしたい!」とお声がかかるようなプロジェクトに育てていきたいです。
古林:そして、いつか日本の全都道府県のお菓子を作れたら…夢が広がりますよね。「うちの町のこの素材、すごいよ!」という方がいらっしゃれば、ぜひBAKEのお問い合わせフォームからご連絡ください!(笑)
とにかく、まずは、プロジェクトの第一弾「檜原村産 生はちみつのフィナンシェ」の魅力をしっかり発信していきたいですね。このフィナンシェをきっかけに、東京の新たな魅力や、日本の素晴らしい地域に興味を持っていただけたら、嬉しいです。ぜひ、ご賞味いただき、今後の展開にもご期待ください!
古林が「薫る養蜂園」さんに取材した、「CAKE.TOKYO」の記事もあわせてご覧ください。
【ひとくちのふうけい】山里で輝く、ひとくちの恵み──檜原村の「生はちみつ」 | CAKE.TOKYO (ケーキドットトーキョー)
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