【贈り物のマナー】のしの「志」とは?

【贈り物のマナー】のしの「志」とは?

【のしの「志」とは?】

 

〈1.のしの「志」とは?〉

 お葬式に参列した際に、お返しとして「志」と書かれたのし付きの品物をもらうことがあります。これは香典のお返しを表すのしで、「こころざし」と読みます。なぜ志となったかのはっきりとした由来はわかっていませんが、「志」という言葉は「気持ち」の意味があるため、感謝の気持ちを示すものと考えてよいでしょう。
 香典返しののしの表書きに関しては、地域や宗派によって異なります。

 ・志:元々は仏教の場合に使用していたが、現代では宗派を問わずに使えるため、最も一般的となっている。
 ・偲び草:神道やキリスト教の場合に使用。
 ・満中陰志(まんちゅういんし):主に関西で使用。満中陰志の「中陰」は人が亡くなってから49日間のことを指し、「満」をつけることで中陰が満ちたということになり、さらに「志」をつけることで感謝の気持ちを表すため、「おかげさまで中陰を無事に終えられました」という意味になる。
 ・粗供養:主に関西で使用。葬儀や法要の際に、喪主が参列者に対して当日渡す返礼品に使用。


 弔事(人が亡くなった際に行われる儀式や行事のこと)の贈り物には熨斗(のし)がない「かけ紙」を使用します。「熨斗(のし)」とは、あわびを薄く延ばした「熨斗鮑(のしあわび)」のことで、慶事(お祝いごとやおめでたいこと)の際に贈り物に添える縁起物です。そのため、弔事には使われません。

本来は品物に紙を掛け、その上に水引を結び、慶事の時はのしを添えますが、現在は簡略化され、すべて印刷された紙を使うのが一般的です。のしも印刷された紙を「のし紙」、水引だけが印刷された紙を「かけ紙」といいますが、弔事の場合はかけ紙を使用します。

 水引は黒白の結び切りのものを使用するのが一般的です。「満中陰志」や「粗供養」などの表書きを使用する関西では、黄白の結び切りにすることもあります。
 また、仏式ではかけ紙に蓮の花が描かれたものを使用することもあります。

 結び切りの水引に似たもので「あわじ結び」という水引もありますが、どちらを使用しても差し支えありません。

 初七日までは、「突然の訃報に接し、悲しみの涙で墨が薄まってしまった、あるいは急いで駆けつけたため墨をする時間がなかった」という意味を込めて薄墨の墨で書くのが一般的です。ただし、四十九日以降の法要では事前に日程がわかっており、準備する時間があるため、慶事と同じ濃墨で書くのがマナーとされています。

〈2.香典返しはいつからいつまで?〉

 仏教や神道では、故人を偲ぶ期間を「忌中」と呼び、忌中が明けることを「忌明け」と言います。仏教では「四十九日法要」、神道では「五十日祭(ごじゅうにちさい)」が忌明けです。
 香典返しを贈る時期は忌明け法要後一か月以内が目安となりますが、法要後すぐに贈られる方が多いようです。ただし、忌明けの日にちは宗教により異なりますので、忌明け前に贈ることのないよう注意しましょう。

 また、仏教でも浄土真宗や、キリスト教には「忌」という概念がありません。
 浄土真宗は他の宗派と異なり、四十九日を待たず死後すぐに極楽浄土へ行くと考えられているので、初七日が過ぎれば香典返しを送ってもかまいません。
 キリスト教では、日本での慣習にしたがって忌明けに相当する「追悼ミサ」や「昇天記念日」を区切りとして香典返しを送ります。
 
 香典返しには、品物と共に法要を無事に終えたことを伝える挨拶状やお礼状を添えて送ります。
 しかし、最近ではお通夜や葬儀の当日に、すぐその場で会葬御礼とともに、香典のお返しものをお渡しすることも多く、忌明け法要後の香典返しを「後返し」と呼ぶのに対して、当日返し(即返し、即日返し)といいます。

 当日返しは北海道・東北地方を中心に関東・中部地域で多くなっています。一方、関西では、従来からの後返しが中心のようです。そのため、「満中陰志」とは別に「粗供養」という表書きが存在するのですね。
 また、香典が高額で用意した香典返しの返礼品が十分でない場合は、忌明け後に改めて香典返しの返礼品を贈ることが一般的です。

〈3.香典返しで贈ってはいけないものはある?〉

 香典返しで避けるべき品物としてまず上げられるのが、「四つ足生臭もの」です。これは肉や魚など、四足歩行の動物の肉や生臭い魚を指し、殺生を連想させることからタブーとされています。

 また、以下の品物も避けた方が良いでしょう。
 ・お祝い事に使われる品物:鰹節、昆布、お酒
 ・商品券や金券:金額が明示されるため、失礼にあたると感じられることも
 ・日持ちしないもの:生菓子や冷蔵、冷凍保存のもの、生花など
 ・縁起物がモチーフのもの:鶴亀、松、ひょうたん、ふくろう、うさぎ、龍、年輪
 ・華やかな包装の品物:キラキラした包装紙やパッケージ、リボンなど

〈4.香典返しの相場って?〉

 香典返しは、いただいた香典の金額の3分の1から半額程度(半額程度のお返しを「半返し」と言います)を目安に贈るのが一般的です。また、通夜や葬儀当日に香典返しを渡す当日返しの場合は、2,000円~3,000円程度の品物を選ぶことが多いです。
 ただし、受け取った金額が相場よりも高い金額であった場合は、3分の1程度を目安にお返しをするようにしましょう。本来香典返しには、残された遺族への援助や葬儀費用に充ててほしいという気持ちが込められているため、半返しで送ると香典を包んでくださった方の気持ちを返してしまうことになり、逆に失礼にあたることもあります。

 また、勤務する会社の名義でいただいた香典に関しては、社内の慶弔規定により「福利厚生」として扱われていることがほとんどのため、香典返しの必要はありません。
 上司などにいただいた香典に関しては会社の慶弔規定外であるため、忌明け法要後に会社に持参して香典返しの品物を手渡しで贈るのがよいでしょう。

 香典返しにふさわしい品物として、「悲しみや不幸が残らないように」との意味を込めて、形の残らない消耗品が選ばれることが多いです。
 例えば、お茶やコーヒー、お菓子、海苔といった食べ物や、洗剤の詰合せ、タオルといった日用品などの「消えもの」が定番です。

 また、最近では受け取った方の好みに応じて商品を選べるカタログギフトを贈ることも増えています。 

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